Interview#5

まだ知られていない
素敵な商品を
みなさんに届けたい

  • 株式会社菅野食品

    営業課長

    菅野 裕隆さん

粉製品のプロという自負を持ち、中華麺をはじめとする多種多様な麺類や、餃子や焼売の皮製品などの製造・販売を、半世紀を超えて続けている。

創業は1927年です。現在の涌谷町で精米販売業としてはじまり、製粉、そして製麺へと徐々に業態を変えて、1965年の会社設立時には製麺加工が主軸となりました。本社と工場は現在も涌谷町にあります。業態は、弊社の規格で作っているものとお客様からオーダーをいただいて作るもの、この2パターンが中心で、割合としては半々くらいです。前者の規格商品は、そのほとんどが業務用の麺製品です。市販品として消費者の皆さんに直接的に販売している商品というのは、実はそう多くはないのですが、国分町の老舗ラーメン店「味よし」監修のラーメンは数十年にわたって販売しています。味は「みそ味」と「しょうゆ味」の2種類。スープに合うよう麺の太さにもこだわって、「みそ味」は少し太めにしています。国分町のお店は残念ながら閉店してしまいましたが、キッチンカーによる移動販売という形で再開。弊社の商品も販売を継続することになりました。

「美味しさの探究」を理念に掲げる菅野食品の根底にあるもの。それは「自分たちが納得できる商品をつくる」という強い想い。

私たちは、私たちが製造した商品を介してたくさんのお客様とつながっています。その方たちに胸を張っておすすめする前提として、自分たちが納得した商品であることを、とても大切に考えています。試食による意見交換は重要な業務の1つですね。商品開発で求められるスピード感を維持しながら、改良点を模索しブラッシュアップを重ね、みんなが納得できる商品が完成した時の熱量は、そのまま販売への推進力になる。だから営業は必ず試食します。お客さま目線の意見を反映できるというメリットもあります。私の好きな自社商品ですか?イチオシは「仙臺みそ焼きそば」です!特製のみそダレが、弊社自慢の二度蒸しした太麺によく絡んで、これがやみつきになる美味しさなんです(笑)。
発売したのは2012年。その当時、仙台みそは仙台名物として全国的に認知されていましたが、仙台みそを使った加工品は少なく、弊社で魅力的なオリジナル商品を作れないか、との着想からはじまりました。しかし、みそラーメンではありきたり。注目したのが焼きそばの麺だったんです。塩味の強い仙台みその特徴を活かした、風味豊かな納得の味を作り出せました。今も根強い人気の商品です。

商品展開の視点は粉製品から食材全般へと派生。その過程において「地域にある食材」との接点が増え、商品開発の領域も広がりを見せている。

商品づくりの1つの手法として、原材料も含めた新商品を私たちが企画し、製造は他社に委託するというやり方を取り入れています。昨年、その手法で「いそべ餅」を商品化しました。私たちの商品づくりに一貫する「地域にあるものを使いたい」という想いを商品の重要ポイントとして企画を組み立て、もち米には宮城県を代表する「みやこがねもち」を、海苔も県産品を使用しています。その「いそべ餅」が、「おいしい山形・食材王国みやぎ新商品アワード2022」を受賞しました。地産地消で地域に貢献する、という私たちの取り組みを評価いただいたものと受け止めています。これまでにも「ずんだ餅」や「いちごあんみつ」「ずんだあんみつ」など、地域食材や企業をつないだ商品開発を積極的に手掛けてきました。それは今後も継続します。

お気づきのように、これらは粉製品ではありません。粉製品以外の商品展開は、業務用麺を製造し販売するにあたり、麺のみではなくスープやメンマ、海苔など、調理する際に必要な食材も一緒に届けられたらいいなと考え、仕入れを強化したことがきっかけです。「地元メーカーの問屋として動いてもらえないか」と小売店から声がけもいただくようになり、問屋としての業務も広がっています。

問屋という立場での「都の杜・仙台」への関わりは発見の連続だという菅野さん。
「まだ知られていない素敵な商品の数々を、菅野食品を介して域内外に発信すること」をこれからの目標の1つに掲げている。

「都の杜・仙台」には発足時から参画しており、多様な事業者さんとのつながりを実感しています。はじめましての事業者さんや商品は意外に多く、そういう方たちとの交流は勉強になるし、面白い発見の連続です。22年度は問屋という位置づけで携わらせていただいたこともあり、コミュニティは大きく広がりました。地元には面白いものがいっぱいあるという知識も増え、仙台が、宮城が、より好きになったし、まだ知られていない魅力を域内外に発信する場として、「都の杜・仙台」というブランドを活用したいと考えるようになりました。

現在取り組んでいるのが、藤崎さんで展開しているオリジナルギフトセットの充実です。参画事業者のアイテムから商品を選定するという、まったく新しい詰め合わせの形。その中には単品では見ないような商品も含まれています。販売ルートを多く持たない中小企業の商品が揃う窓口として「都の杜・仙台」というブランドを掲げ、「こんな商品も宮城にはあるのね」という発見の場になるといいなと思っています。域外での販売会にも問屋として関わらせていただきましたが、私たちの予想とは異なる商品の人気の高さに正直驚きました。販売会そのものも想像以上の反響で、商品の魅力を再認識することもできました。一方で、参画事業者のすべてが、お客様に直接販売できる商品を持っているわけではありません。そのことも念頭に、「都の杜・仙台」への参画にメリットを感じられる企画を考え、共存共栄できるようにすることが今後の課題だと考えています。

菅野食品としても本業である製麺事業の知見を活かしながら、地域の食材や企業をつないだ商品開発も行っていきたいし、問屋という事業の役割を担う限りは、たくさんの素敵な商品を、菅野食品を通して域内外に伝えられるように動きたい、動かなきゃいけないと思っています。